オンラインカジノで収入を得た場合、それは課税の対象となる可能性があります。
しかし、オンラインカジノで遊ぶユーザーの中で、税金の支払いまで考える方はほんの一握りでしょう。
それでも、カジノゲームをプレイする以上は納税の必要性について知っておくべきです。
万が一「脱税行為を行った」とみなされれば様々なペナルティを課せられる可能性がありますし、悪質と判断されれば刑事罰を受けてしまうリスクもあります。
この記事では、そんなオンラインカジノと税金、脱税のペナルティなどの情報を徹底解説していくため、「これからオンラインカジノをはじめる」という方は是非とも一読してみてください。
「オンラインカジノの脱税はバレない!」という考え方は危険!
中には、「オンラインカジノの脱税はバレない」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
確かに、今のところ「オンラインカジノで脱税事件が発生した」というケースは聞いたことがないですし、ユーザーが少額の脱税を行ったところで、税務署が動く可能性は低いでしょう。
ただし、だからといってオンラインカジノの脱税を行うということは大変危険であり、絶対におすすめできません。
なぜならば、オンラインカジノはそのシステム上”脱税がバレやすい仕様”になっており、いざという時にはそれを隠すことが困難であるためです。
オンラインカジノの脱税はなぜ隠すことができないのか?
そもそも、オンラインカジノにかかわらず、日本に存在するギャンブルで利益を得た場合は全て課税対象となる可能性があります。
たとえば、パチンコやスロット、競馬などの公営ギャンブルもそうです。
ただし、パチンコやスロットは現金で勝負しその後は三店方式で景品を現金化するため、もし脱税していたとしてもそれを税務署が証明することは困難なのです。
競馬などの公営ギャンブルも、直接売り場で購入すれば記録が残らないため、これも脱税を証明することは難しいです。(ネットでの購入は別)
一方で、オンラインカジノは電子決済サービスや仮想通貨で入金を行い、その後勝利金を獲得すれば最終的に自分の銀行口座へ出金をすることとなります。
そのため、もし税務署に目を付けられお金の流れを追われると、その記録を見れば一目瞭然なので結果的に脱税がバレてしまうのです。
また、最近では日本市場に進出してきているオンラインカジノも増えているため、これまで以上に税務署の目が厳しくなる可能性があります。
特に、プログレッシブジャックポットなどで大金を獲得した際には注意していただきたいところです。
オンラインカジノでいくらの利益を出したら納税義務が発生するのか?
オンラインカジノで利益(所得)を得た場合、以下の5種類が定められる「一時所得」に分類されることとなります。
⓵懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除く)
②競馬や競輪の払戻金
③生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除く)や損害保険の満期返戻金等
④法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除く)
⑤遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
ただし、オンラインカジノで利益を得た全ての方に納税義務が発生するわけではありません。
納税義務のルール
オンラインカジノで得た所得は「一時所得」に分類されますが、一時所得の納税義務としては以下のルールがあります。
〇一時所得は最大50万円までの特別控除がある
〇給与等以外の所得が20万円以下の場合は申告不要
まず、一時所得には最大50万円までの特別控除が存在します。
そのため、年間でオンラインカジノで得た所得が50万円以下ならば納税義務はなく、確定申告を行う必要もありません。
また、一時所得には「給与等以外の所得が20万円以下の場合は申告不要」というルールもあるため、一時所得がオンラインカジノの儲けだけであり、且つ、その儲けが70万円以下というケースでも確定申告(納税)は不要となります。
一時所得の計算方法
一時所得の税金の計算式は以下の通りであるため、自分に納税義務が発生しているか不明である場合は、下記計算式を用いて算出してみてください。
①「1月~12月の勝利金の合計額」-「支出した金額」-「特別控除額(最高50万円)」 = 「一時所得の金額」
②「一時所得の金額」 × 1/2=「課税対象となる一時所得の金額」
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ちなみに、「一時所得がオンラインカジノだけでない」といったケースでは他の分とオンラインカジノの分を合算して、「課税対象となる一時所得の金額」を算出する必要があります。
仮に、あなたが会社員だったとしましょう。
この場合、一時所得を1/2にした金額と年収を足して課税対象額を算出していきます。
また、給与所得以外にも事業所得などの所得があるケースでは、確定申告にて、それらと「課税対象となる一時所得の金額」を合算した上で納める所得税を計算しなくてはいけません。
勘違いされやすいオンラインカジノの経費
税金額を調べる上で重要となる「所得」は、「収入」から「経費」を差し引いて算出していきます。
一般的な考え方では、経費が多ければその分所得は減り、納税額も減少するため、できるだけ沢山の経費を計上しようと考えるのが通常です。
しかし、オンラインカジノおける経費は非常に勘違いされやすいので注意が必要です。
そもそも経費とは、事業を行うために使用した費用を指します。
オンラインカジノの場合、オンラインカジノでより多くの収入を得るために使用した支出という認識で間違いありません。
ここで問題となるのが、「オンラインカジノ発生した損失はすべてが経費になるわけではない」という点です。
オンラインカジノで経費として計上することができるのは、「勝った時の分の資金のみ」となります。
たとえば、以下のような実践結果があったと仮定します。
オンラインカジノで遊んだ日 | 利益/損失 |
4月5日 | 60万円の損失 |
5月10日 | 50万円の利益(当日の投資は10万円) |
6月25日 | 70万円の利益(当日の投資は20万円) |
10月4日 | 80万円の損失 |
12月15日 | 30万円の損失 |
この場合、経費に計上できるのは5月10日に50万円の利益を出すために必要となった10万円の投資分と、6月25日の70万円の利益を出すために必要となった20万円の投資分、計30万円のみとなります。
ユーザーからすれば常に利益を出すために頑張っているのですから、そのほかの日の損失も経費としたいところですが、残念ながら赤字で終わってしまった日の損失は経費として計上できないため、その点は留意しなくてはいけません。
オンラインカジノの脱税がバレた場合のペナルティ
オンラインカジノの脱税がバレた場合、以下のように非常に重いペナルティが科されることとなります。
加算税
『加算税』には以下の4つの税があり、脱税の悪質性などによって科されるペナルティは異なってきます。
〇過少申告加算税
申告期限内には申告を行っていたものの、正しい納税額よりも申告額が少なかった場合に科されるペナルティです。
過少申告加算税の課税割合は「10%~15%」となっています。
〇無申告加算税
申告期限までに申告を行わなかったときに科されるペナルティであり、「15%~20%」の税が加算されます。
〇不納付加算税
源泉所得税を納付期限までに納付しなかった際に科されるペナルティであり、「10%」の税が加算されます。
〇重加算税
意図的に納税額を隠ぺいし、さらに過少申告・無申告などを行う悪質な脱税に該当する際に科されるペナルティです。
「35%~40%」の税が加算されます。
延滞税
『延滞税』とは、税の納付期限を過ぎて納付する際に科されるペナルティです。
「意図せず税金の支払いを忘れてしまった」というようなケースでは、一日でも早い納税を行った方が科されるペナルティも少なく済みます。
利子税
『利子税』とは、税額が大きく一括で納付できずに分納するときに、納付が延びた分に対して科されるペナルティです。
利子税は、分納した税を完納するまで発生する可能性があります。
刑事罰
脱税があまりに悪質と判断された場合、『刑事罰』が科されてしまう可能性もあります。
また、脱税による刑事罰は適用される法律ごとに定めがありますが、基本的には10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方が科されるものと規定されています。
実際に起きたギャンブルの脱税事件
今現在、日本でオンラインカジノの巨額な脱税事件などは発生していません。
しかし、過去にはそのほかのギャンブルで脱税を行ったとして、検察に起訴されたようなケースもあります。
ここでは、その中でも記憶に新しい競馬で利益を得て脱税を行い、有罪判決が下った事例をご紹介していきます。
5億7千万円の脱税を行ったとして、所得税法違反の罪で在宅起訴
本事例は、大阪市の元会社員男性が競馬予想ソフトを使用し、2005年から2009年までの5年間で約30億1千万円をもの配当を得たものの無申告で、大阪地裁は5億7千万円の脱税を行ったとして、所得税法違反の罪で2011年に在宅起訴されたというものです。
ちなみに、被告の弁護人は「外れ馬券も経費に含まれる」と反論し、無罪を主張しました。
通常であれば競馬もオンラインカジノと同様、的中した馬券に投じた馬券代のみが経費として差し引かれます。
ただし、今回は1レース毎に大量かつシステム的に馬券を購入しているのが「投資行為」に該当する可能性があったため、検察と被告人との間で考えに乖離があり、最終的に最高裁まで判決は持ち越されることとなりました。
被告人は有罪、約5,200万円の税金の支払い命令が下る
本事例は、結果的に被告人に対し懲役2月、執行猶予2年(求刑懲役1年)、約5,200万円の税金の支払い命令が下りました。
検察は当初5億7千万円の脱税を行ったとして起訴していたため、最終的に大幅な減税で決着したこととなります。
また、裁判所は「外れ馬券の購入費も経費に算入できる」と認める結果となりました。
ただし、この大阪市の男性も税務署に入られるとは思っていなかったはずですし、いきなり約5,200万円もの税金を支払えといわれれば一般の方は困惑するはずです。
脱税というのは、このようにいつバレるかわからず、また過去までさかのぼり巨額の税金を支払わなくてはならなくなる可能性があるのです。
オンラインカジノの節税対策
節税は、脱税とは異なり違法性のないしっかりとした税金対策です。ここでは、オンラインカジノの節税対策をご紹介していきます。
オンラインカジノの勝利金を仮想通貨ウォレットに入れておく
最近のオンラインカジノは、仮想通貨を入出金手段として導入しているケースも多いです。
オンラインカジノの利益に対し課税されるタイミングは「銀行口座に着金した時」であるため、仮想通貨ウォレットにオンラインカジノの勝利金を送金し、そこから出金しない限りは税金が発生することがありません。
普段仮想通貨の取引を行っている場合は、仮想通貨のウォレット内で資金を管理しておくのも一つの節税対策です。
特別控除内で遊ぶ
前述の通り、一時所得には50万円の特別控除額があります。
そのため、経費を差し引いた年間の利益が50万円を超えなければ、納税の義務は発生しません。
「オンラインカジノの税金は払いたくない」という方は、特別控除内で遊ぶことを意識してみましょう。
医療費控除や生命保険料控除などを利用する
これはオンラインカジノの利益に限ったことではないのですが、税金の節税対策には「医療費控除」や「生命保険料控除」などの活用が有効となります。
もしオンラインカジノで税金が発生した場合には、できるだけ多くの控除を活用し納税額を減らしていきましょう。
まとめ
脱税には、非常に大きなリスクが伴います。
また、そもそもオンラインカジノはパチンコや、スロット、競馬などと比較して記録が残りやすいギャンブルであるため、その点も理解しておく必要があります。
最近では副業としてオンラインカジノをプレイする人も増えているため、カジノユーザーの方は今一度オンラインカジノの税金についてチェックしてみてください!
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